せっちも 徒然雑記

50代半ばの全然不惑じゃない道楽親父が、思い付いたことをただ徒然記するブログです。

還暦からのローファー考 POLO RALPH LAUREN… vintage penny loafers

 少し前の夏の気配が感じられるようになった頃、大学時代に所属していた体育会系クラブの友人10数名と、東京は錦糸町にて、本当に久しぶりに会食してきました。

 懐かしい思い出話から始まり、還暦を迎えたそれぞれの近況や健康のこと、その場に来れなかった友人達のことなどの話題で大いに盛り上がり、卒業してから40年近い歳月を経ても、それぞれもまた、未だ不惑 青春真っ只中にいることが判り大きな勇気を貰いました。

 良き友人の存在というものが、如何に人生を豊かに、実りのあるものに導いてくれるかということを改めて感じたのでした。

 一次会から二次会場となるお店へ移動の道すがら、夏日和であったことから、ローファーの着用率が非常に高いことが判り、次の二次会の場では、ローファー談議を中心に大いに盛り上がりました。

 アメリカントラディショナル、アメリカンカジュアルなどの影響をリアルタイムで受けてきた世代ですから、特に必須アイテムであるローファーには、強いこだわりを持つ友人が多く、平素はスニーカーを着用することが多い私も、この日ばかりはと、30年以上前のビンテージものをソールの張替えと手入れをバッチリ施して、意気揚々に履いてきていたのです。

 60歳を迎え仕事も第一線から退き、これから益々、ビジネスシーンで履くようなオックスフォードやダービーなどの靴紐を要する短靴に足を通す機会が少なくなると思いますが、それでも年に何度か冠婚葬祭以外でも、スニーカーなどでは行きづらい場所や場面があります。

 病院への通院やお見舞い、子供の学校行事や同窓会、ホテルや小洒落たお店での会食など、やはりスニーカーでは憚れる場面というものが必ずあります。

 フォーマルになり過ぎずカジュアル過ぎない、そんな場面にピッタリなのが、まさしくローファーです。

 今記事から数回にわたって、私が所有しているローファー達を紹介し、還暦を迎えたおじさんが少しでもカッコ良くあるためのローファーについて考えていきたいと思います。

 POLO RALPH LAUREN 80’s~90’s vintage penny loafers 

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 写真は数あるラルフローレンのローファーの中でも特に好きなモデルで、80年代後半から90年代初頭にかけて生産され、サドルとヒール部にブローグ装飾が施された、今ではたいへん珍しいペニーローファーです。

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 35年ほど前の20代半ばごろに、上野アメ横にある並行輸入品を扱うショップの店頭で目に止まり、一目惚れしてその場で即購入、とても大切に履いていたのですが、人生のターニングポイントともいえるある出来事があったその日に、あろうことか置き忘れてきてしまったという苦い想い出のあるローファーです。

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 どうしてもまた同じものを履きたいとの一心から、オークションサイトや個人売買サイトをずっと探し続けてきましたが、見つかってもサイズが合わない、コンディションが悪すぎるなど困難を極め、ほとんど諦め気分でした。

 いつのまにかそれは、毎日の日課になってしまい、決まったサイトを巡回しチェックをすることがルーティンワークになっていたのです。

 そして、20年近い時を経てついに入手した同モデルが、このグレインレザー仕様でマホガニーブラウンのペニーローファーです。

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 ビンテージといわれる域にあることから、未使用のものを手に入れるのはまず不可能で、これだけの良好なコンディションで、自身のサイズにピッタリのものを探し出し入手できたことは、ほんとうに奇跡に近いことだと思っています。

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 このブローグ、メダリオン装飾のあるローファーは、ラルフローレンの当時の自信作であったらしく、通常のアメリカ製に加え、メイン州にあるシューズファクトリーブランド、ランコート社に別注した上級モデルや、日本製さえも存在したのです。

 写真のグレインレザー仕様モデルも、インソールにわざわざ「BENCH MADE IN MAINE 」(手作りメイン州製)と刻印されていることから、メイン州での手工生産にこだわるランコート社製である可能性があり、私が所有しているランコート社製のローファーとソール周りの作りが酷似していることからも、その可能性は非常に高いと考えています。

 ハンドソーイングでクオリティを維持する結果の少数生産、世に出回っている絶対数の少なさを考えれば、入手までに困難を極めたことについてもなるほど合点がいきます。
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 メイン州アメリカでも数多のシューズファクトリーが集中するところで、イタリアでいうところのフィレンツェに相当する位置付けにあり、メインハンティングシューズで有名なL.L ビーンや、ローファーを初めて世に出したとされるG.H BASS、セバコなど、特にモカシン系の名品を生産するファクトリーの拠点が多いとされています。

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 このグレインレザーモデルを探す過程で、コンディションが良くサイズがピッタリのものを見つけるたびに、「今手に入れないともう無理かも」といった焦燥感に駆られ、気が付いた時には、この他にガラスレザーのモデルを色違いで3足も入手していたのです。(^ ^;
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 でもそのいずれもが、通常に履けるコンディションにまでメンテナンスを要し、その過程でさらに愛着が増し、今ではそれぞれの優劣を付けられないほどのお気に入りになってしまいました。
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 そのなかでも写真のウイスキーブラウンのモデルは、特に良好なコンディションで、革底に滑り留めと補強のためにハーフラバーを貼った以外は、オリジナル状態のソールで使用しています。

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こちらのバーガンディのモデルはアッパーに使用感があるものの、いい感じでエイジングが進み、磨きをかけるとまるでコードバンのような輝きを放ってくれます。
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 しかしソールに相当な劣化がみられたことから、靴修理店に持ち込み、オールソールでの張り替えをしています。

 マッケイ製法の靴は、オールソール交換となると、それなりの時間とお金がかかってしまいましたが、靴修理店の店主に納得するまで相談して、的確なアドバイスを頂いた結果、オリジナルの雰囲気を壊さない素晴らしい仕上がりに大変満足しています。

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 同じくブラックのモデルも、程よくエイジングが進んだアッパーが柔らかく足を包み込み、こちらもオールソールリペアによって、しっかりとした踏み込み歩行ができるようになりました。
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 エイジングの進んだ黒色のガラスレザーは、磨けば磨くほど、なんとも言えないしっとりとした輝きを放つようになることから、とにかく手入れが楽しくてたまりません。

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 このように並べて比較すると、同じモデルでも、エイジングの進み方や色の違いだけで、まるっきり別の靴のように見えてきます。

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 ローファーは微妙なサイズ合わせが必要な靴で、エイジングの進んだ靴では尚更なため、それぞれの個体に合わせて、インソールやヒールグリップを組み合わせて使用しています。

 しかし、靴だけではなく足の方も、むくみや疲れなどの要因で日々変化しますので、決まったサイズ合わせはせず、数種類のインソールを用意して、その日のコンディションに合わせた組み合わせで都度、サイズの微調整をして履いています。

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 ブローグ装飾のあるサドルはソールにまで達するフルサドル仕様になっており、よりラグジュアリーで大人の雰囲気を醸し出しています。
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 個人的嗜好ですが、ビーフロールタイプのローファーは学生靴のイメージが強く、高校を卒業して以降現在まで、購入の選択肢にありません。

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 この時代のローファーの絶妙な長さのノーズ形状や、流線型に近いシルエットデザインに、大人の色気のようなものを感じ、ラルフローレンらしいカントリー調、フォークロアな雰囲気が、さらに他のローファーとは一線を画す存在感を醸し出しています。
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 いつの時代でも普遍的なアイテムであるからこそ、今の若い世代にはない、私たち世代のこだわりと大人の色気が感じられるローファー…

 次回の記事では、さらに大人の余裕が感じられるローファーを紹介していきたいと思います。